Webアクセシビリティについて、今知っておくべきこと

Vantaのアクセシビリティへの取り組み方

弊社はWebアクセシビリティを障害者・病人・怪我人といった限られた人々のための”特別な支援技術”ではなく、全ての人への優しさに関する技術的、普遍的なアプローチであると考えます。

Webアクセシビリティ対応への導入障壁が高くなることはWebアクセシビリティ普及の観点から見るとマイナスになると考え、弊社ではWebアクセシビリティに配慮(JIS X 8341-3:216におけるAA適合)したWeb制作を追加料金なしで提供しています。

Q.Webアクセシビリティとは?

  • 誰もがインターネット上で提供される情報や機能を利用できること
  • Webサイトにおける「アクセシビリティ」

Q.アクセシビリティとは?

  • 元来は近づきやすさ、利用しやすさなどの「アクセスのしやすさ」を意味する
  • 実際の文脈では誰にでも利用しやすいモノ、サービスなどを意味する
  • 「ユーザビリティ」の下位概念-アクセシビリティはユーザビリティを包括する概念

Q.ユーザビリティとは?

  • ある特定の利用状況で、特定のユーザーが指定された目標を達成するために用いた際の「使いやすさ」
  • Ex) 利用者がストレスを感じない操作性やわかりやすさ
  • Ex) 設定された目標を達成するための労力の少なさ

「ユーザビリティ」は「アクセシビリティ」より上位の概念。例えば「そもそも情報にアクセスできない」状態は、「ユーザビリティ」を評価する以前の問題とも言える


なぜ今、Webアクセシビリティなのか?

基本的人権の一つとしてアクセシビリティが扱われている。

第九条 施設及びサービス等の利用の容易さ
2 締約国は、また、次のことのための適当な措置を取る。
(g) 障害者が新たな情報通信機器及び情報通信システム(インターネットを含む。)を利用する機会を有することを促進すること。
国連「障害者の権利に関する条約(和文)」より
  • 日本は2007年に、国連「障害者の権利に関する条約」に署名、2014年に批准、141番目の締約国・機関とされる。

法的義務の発生

「障害者差別解消法」
正式名称:「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」
平成28年4月1日施行
国・地方公共団体に対して「差別的取り扱いの禁止」「合理的配慮の不提供の禁止」を義務付ける。
ウェブサイトにおける「合理的配慮」は、ウェブアクセシビリティの確保に該当する。
  • 日本は2007年に、国連「障害者の権利に関する条約」に署名、2014年に批准、141番目の締約国・機関とされる。

何をするべきか? ―具体的な取り組みについて

1. 総務省ガイドライン

総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン」

2016年に総務省が公表したガイドライン。 各機関のすべてのウェブコンテンツが対象となる。

  • 公的機関がウェブアクセシビリティの確保・維持・向上に取り組む際の取組の支援を目的として作成される。
  • 公的機関のウェブサイトに対して、JIS X 8341-3:2016 / WCAG2.0における達成基準AAを求めている。
  • また、アクセシビリティ確保に際して重視すべき考え方や取り入れるべき方法論についても解説している。
  • 1回の取組で完了するようなものではなく、継続的に持続させていく取組という考え方。

2. 日本工業規格

日本工業規格 JIS X 8341-3:2016

高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービスー第3部:ウェブコンテンツ

2004年、日本独自のアクセシビリティに関するガイドラインとして制定される。2010年8月に後述のWCAG2.0と共通の達成基準に改正。
2016年3月には国際規格 ISO/IEC40500:2012との一致企画として改正される。

JIS X 8341-3:2016 = WCAG2.0 = ISO/IEC40500:2012

3. WCAG2.0

Web Content Accessibility Guidelines 2.0

インターネット上で用いられる各種技術の標準化を推進する為に設立されたW3Cという非営利団体が策定した、ウェブアクセシビリティに関するガイドライン。
2008年12月にWCAG2.0が勧告される。
なお後継のWCAG2.1は2018年6月に勧告され、スマホ対応、弱視やLD(認知・学習障害)への対応が盛り込まれる。WCAG2.1の改訂版として2023年中にWCAG2.2が勧告される。
前述のJIS X 8341-3:2016はWCAG2.0と対応しており、実務においてはWCAG2.0を参照することで問題ない。

4. 達成基準について

アクセシビリティの達成基準

WCAG2.0では、アクセシビリティの達成基準となる「適合レベル」をA、AA、AAAの3段階に定めている。

  • A: アクセシビリティの確保に最低限必要とされるレベル。
  • AA: 公的機関に求められるレベル。総務省ガイドラインでもAAを求めている。
  • AAA: 最高レベル。コンテンツの特性上、AAAの基準を満たすことができないものもある為、サイト全体の一般的な方針としてAAAの適合を要件とすることは推奨されない。

5. ウェブアクセシビリティ取組のサイクル

  • ウェブアクセシビリティ方針の策定と公開
  • 取組の実行
  • 取組内容及び実現内容の確認と公開
  • ウェブアクセシビリティ方針の見直しと公開

千里の道も一歩から。
無理の無いペースで少しずつ、
アクセシビリティを改善させて行きましょう。